2年前の……

2004年6月2日
その週の金曜日に、彼は一人暮らしの家に戻ってきた。

熱があると聞いたので、私は部活を休んで彼の家に行こうと思った。
でも彼は「部活が心配だから休んだりしないで。」と言った。
みんなを引っ張る立場にいる彼からそう言われたら、休めない。

はやる気持ちをぐっと押さえて、部活に出て、終わるとすぐに彼のもとに行った。

彼はきちんとふとんで休んでいた。
私は適当に夕ご飯を食べて、彼を看た。

何日か前に買った和紙のランプを早速使い、たびたび彼の汗を拭い、夜中にパジャマを取り替えた。

私は彼のじゃまにならないよう、ふとんの端の方と、床で寝た。

次の日どう過ごしたのかはよく覚えていない。

ひとつだけ、とてもよく覚えているのは、彼と抱き合ったときに胸がいっぱいになり、私が泣いたことだ。

それまで私は泣くのを我慢していた。
彼ががんばっているのだから、私が泣くわけにいかない。

そう思っていた。

だからそれまで我慢していた涙があふれてしまったのだ。

彼が顔を上げて泣いてる私を見た。
私はずっと我慢していた気持ちを言った。

「一回しか会ってないけど、お父さんが好だったんだよぉ…」

ぐしゃぐしゃになりながら、言葉もうまく出てこなかったけど、とても伝えたい気持ちだった。

そしてもうひとつ。
彼を泣かせてあげたかった。

「泣いていいよ」と言うと、
彼は「俺はもう泣かない」と答えた。

私は黙って泣きながら彼を抱きしめた。

それから、言葉通り、彼が泣くのを見ていない。

ツライ気持ち、ツライこともあっただろうけど、泣かなかった。

いまだ乗り越えていない部分もあるように思うけど…

ときどき私は思い出す。
お父さんとの約束。

あの日の約束に縛られているつもりはない。

私たちは今も一緒にいる。
もしこの先、彼と結婚したら、お父さんは喜ぶだろうか…
もしこの先別れたら、お父さんは哀しむだろうか…
未来はまだわからない。

まだ私が毎日の中で哀しみを感じていたとき、信じた歌がある。
私は今もそれを信じて、微笑みと共にお父さんを思い出している。



  空のあの青さは
  この胸の奥に残るだろうか
  すべて失う今でも
  心は君に

  そばにいる いつもそばに
  風が肩を抱くように守るよ

  日射し強すぎたら
  この腕をかざしてあげよう
  愛に包まれる日には
  白い花咲かそう

  夢を見て 僕の夢を
  そうしてもう振り向かず歩いて…

  君が涙を流すときには
  好きだった蜜の香り 届けよう
  君の指に光っていた…

  そばにいる 黙ってそばに
  君のその笑顔が僕のしあわせ
  空のあの青さに映る
  君が そう信じてる未来の道が
  続くよ

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