2年前の、4月。確か7日くらいだっただろうか…

私は彼のお父さんに会うことになった。

私自身、会いに行きたい気持ちはあった。
「いつでも会いに行くよ」と、彼にも話していた。
でも彼は私を連れていく気はないようだった。

「一緒に来てくれる?」と彼が言ったのは、
お父さんの「○○(彼)の結婚式が見たかったな」の一言があったから。

彼は言った。「見たかった…『かった』ってさ…」

私は「私で良ければ会いに行くよ」と答えた。
そのときの私は(今もそうだけど)、決して彼のお嫁さんではない。
お嫁さんになるかもしれないというだけの人。

だから、そんな私がお父さんに会ってもいいのだろうかとも思った。

彼は私に「今俺が付き合っている彼女として、大切に想ってる人として会ってくれればいいよ」と言った。

その日はあったかな春の日だったと思う。

乗換の駅のデパートで贈り物を買った。

お花だけはいやだった。
何か残るものを贈りたかった。

そして買ったのがオルゴール。
蓋を開けると赤ちゃんミッキーと赤ちゃんミニーがクルクル回り、音楽が流れ出す。

いつまでも、耳に、記憶に、心に残りますようにと願った。

青い花を花束にし、私は彼との待ち合わせの駅に向かった。

駅に着いて彼と会い、目的地に向かう。
そのとき初めて知ったのだけど、お母さんもずっと一緒に泊まり込みで付き添っていた。

歩きながら、緊張でふるえてきた。
なぜだか笑いが止まらなくなった。
笑いが、というか、緊張してどきどきして、落ち着けなかったのだ。

病院に着いてエレベーターに乗ったときに、やっと落ち着いた。

初めて会う、彼のお父さんとお母さん。

緊張しながら自己紹介。
彼もやっぱり少し緊張していたようだった。

どこに住んでいるのか、
将来どんな仕事をしたいかなんて話をした。

一年限りの一人暮らしを始めた彼に、ご両親は公共料金のことなどを話していた。



私は、ゆっくり流れる時間を感じながら、窓の外を眺めていた。



一時間程過ぎ、おいとますることにした。


帰り際に、お父さんが「がんばれよ」と彼に言い、握手をした。それを見て私も、ごく自然に「私も…」と言って手を差し出した。

お父さんの手はあたたかかった。ぎゅうっと握ってくれた。

お父さんが私に、「これからもよろしくお願いします」と仰った。

私は、「こちらこそよろしくお願いします」と答えた。




帰り道、握手した右手を眺めながら、
お父さんのあたたかさが、
握ったときの感触が、


いつまでも残ってる気がした。

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